本富(モッチョム)岳 屋久島フリーウェイ

久しぶりに屋久島・モッチョム岳へ行った

次にくるときはミルキーウェイを登攀しようと思っていたが、Kさんの強引な誘いにより屋久島フリーウェイを攀じることになった

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29日(土)鹿児島発0700〜宮之浦港1100〜原1300〜モッチョム岳岩壁基部1600BC
 朝早くフェリーに乗る。Kさんは本をどっさり持ってきている。そんなにいらんだろ・・・。宮之浦港からバスに揺られ、原に着く。モッチョム岳の岩壁が嫌でも目に入る。開拓者の米沢先生曰く、「傲岸」「驕慢」な風体である。確かに去年見たときはそのような強烈な威圧感を感じたが、今回はなぜか何とも思わない。妙に落ち着いている。
 原のバス停でホタの刺身を切ってもらい、それを持参し、モッチョムへ向かう。適当に進んだため、モッチョム農道までで迷ってしまうが、何とかアプローチの入り口に着く。100岩場で電柱の番号が目印の様に書かれているが、ご存知のように全く違う。そんなものをあてにせずとも、入り口の20cmほどのコンクリートですぐに分かる。
 ここからビニールテープに従い、岩壁基部まで林の中を登る。20分ほどで平らなところがあり、ここにテントを張ると都合がよいと思われる。基部には1時間半以上かかって到着。100岩場には右に広場があるとか書いてあるが、そんなものはもはや無い。かつてあったのかもしれないが、広場なんてあったらブッシュがあっという間に生えてしまうのは必然である。登攀具をデポし、テントまで戻る。晩飯のホタの刺身はサーモンみたいに油が乗っていて旨かった。

20100531075256


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日(日)起床0430〜基部0520〜登攀開始0550〜モッチョム岳頂上1525
 起床。寝覚めはまずまず。まっずい棒ラーメンで気合を入れる。やっぱり本気を出すときは棒ラーメンだ。550分登攀開始。奇数ピッチはは僕、偶数ピッチはKさんである。1p目は三角岩の左をブッシュ登り。さっさと登りビレイへ。核心である2p目はビレイ用ボルトからかなり左にルートがあり、しかも1ピン目はビレイ点より若干低い。なんだこれは?ブッシュでセルフビレイを取るだけということだろうか?2ピン目は噂どおりかなり遠い。岩を見るとビレイ点から1ピン目の上のバンド近くまで形状があり、大きめのポケットもある。Kさんはこれを伝い、1ピン目を無視して、ポケットの少し上に上がって2ピン目をまず取った。(なぜか2ピン目は2本ある。昔は無かったそうな)しかしながら、それからひたすらA1・A0のオンパレードとなり、外傾した三日月バンド・カンテの乗り越えもなんのその。3p目は凹核からフィンガークラック〜小ハングとなる。凹核はスメアリングとなるのだが、三角岩の上でのビレイで靴が濡れてしまい、フリクションが効きにくい。何度か登りだすのをためらったが、手のツッパリを交え、なんとか体が上がる。体が上がると下りるのが怖くなり、ギリギリのクライミングながら、フィンガークラックまで到着。フィンガークラックはレイバックで解決。小ハングは本当は右から巻くらしいのだが、開拓時のボルトに誘われ、左から危ういスラブに乗り移って巻く。そこから濡れた草付伝いに登るとビレイ点がある。4p目、左の崩れそうな岩に乗り、スラブを登る。そのままブッシュに入り込む。でっかいダイヤモンドハングとデルタハングが押し迫ってくる。5p目ダイヤモンドハングの下のブッシュをトラバース。途中にハンドクラックがあり、カムを決めるが、すぐ上にボルトもある。足ジャムで靴がびしょびしょになる。クラックの上にはダイヤモンドハングが屋根となった黒稜会テラスがあり、ここでビレイなのだが、ここから左下のほうにもビレイ点があり、迷い込む。その途中、ビレイ中のKさんから「ビレイ解除するよぉ」と聞こえる。えっ!?なぜ?必死で「解除しないでくださいぃ!」と叫び、難(?)を逃れる。間違ったルートから戻り、テラスにKさんを向かえ、ブチ切れる。死ぬかと思った。6p目デルタハング直下をトラバース。バンドがあり、比較的楽だが、怖い。トラバース後ブッシュ交じりの岩を登り、バンドまで。7p目、すっきりとしたスラブが上まで続く。長石が出っ張っているのでグレードの割りに簡単に思えた。最後にちぎれかかったハンガーにクリップし、次の最後のボルトを見逃し、ランナウトしてしまった。8p目は左に回り込み、凹角を登り、スラブを登ってブッシュバンドへ向かう。左から庵ルートが交わってきているのでややこしい。ブッシュバンドでは少し休憩。Kさんはこんな所で生理的軽量化をしやがる。臭ぇ・・・。逃げるようにして9p目に取り付く。ここも長石の出っ張ったスラブ・・・か?エッジを効かせて登る。背後の景色と相まって楽しい。10p目は最後の難しいところだが、35mにボルトが20本もあり、かなり余裕がある。セカンドはヌンチャクを掴みまくれるので楽(かもしれない)
 11ピッチ目は左にすっきりとしたどスラブを見つつ、なぜか草付き混じりのフェースを登る。ここが弱点ということか・・・。幅70cmほどのテラスへ。このテラスは噂どおり格別である。見晴らしもよく気分がよかった。12ピッチ目はホールドもほとんどなくなり、フリクション頼りの登攀になる。段違いを越えてブッシュに入りビレイする。頂上へは10分ほど歩くと着いた。
 頂上には美人のお姉さんがいて(男性の方もいたが^^;)、一緒に写真を撮ってもらった。それからはいそいそと登山道を下り、テントへ戻った。戻る途中からは雨となった。

 意外にも難なく登れてしまった。Kさんはどう思っているのか知らないが、僕自身はすべてオンサイト出来たので、満足だった。宮崎で登ってばかりだったのでランナウトには慣れっこになってしまったようで、こちらのボルトの多さが目に付いた。しかし長石を拾いながらの登攀はなかなか面白かった。得意系だったのかもしれない。
 反省点としては体力不足だろう。やっぱりアプローチが最大の核心であった。